2024/01/18

トピック

「銭湯で働きたい」「銭湯を経営してみたい」と考えている方を対象に、銭湯経営や仕事の魅力を伝えつつ、実際の業務を体験してもらい、将来的に銭湯での就業につなげることを目指す、「第3回 銭湯の担い手養成講座」の「ステージ3」が2023年11月に開催されました。

このステージは、お湯を沸かす仕組みやフロントでの接客、緊急時の対応など、実際の営業に必要な知識を実践的に学ぶ内容です。「ステージ2」に参加した方の中から抽選で選ばれた12名の受講生が、11月23~26日の4日間、各実施日に3名ずつ参加。講師は「ステージ1」「ステージ2」に引き続き、今回の講座の会場となった「立川湯屋敷 梅の湯」オーナーでもある佐伯雅斗(まさとし)さんが務めました。

初日の23日は前日深夜、会場の梅の湯の電源ブレーカーの故障により停電が発生し、講座開始時間になっても停電が復旧しなかったため、急遽、系列店である「府中湯楽館 桜湯」で講座を開催することなり、車で移動しました。

府中湯楽館 桜湯

 

バックヤードの見学では、井戸水を組み上げて釜で沸かす一連の仕組み、ろ過装置、塩素消毒の仕組みなどについての説明を受けたほか、浴室や脱衣場の見学では、入浴客の体調不良時の対応を学んだほか、地震や火事が起きた時など緊急時の避難経路の確認も行いました。

バックヤードでお湯を沸かす仕組みを学ぶ

 

貸し出し用のタオルをたたむ

 

施設の見学後は実際の接客を行うために、ロッカーキーと下足札を交換する際の細かいルールや電子マネーの決済方法を学びました。

下足箱とロッカーの鍵を交換する練習を行う

 

佐伯さんによるフロント業務の指導

 

16時に開店すると、押し寄せたお客さんを佐伯さんが手際よくさばいていく様子を見学し、人の流れが落ち着いたところで、佐伯さんの助けを借りながら受講生が実際にフロント業務に挑戦。

下足札とロッカーキーを交換するシステムは、空きロッカーの数や貸し出しタオルの管理ができる便利なシステムですが、支払い方法が入浴チケット、共通入浴券、電子マネーと多岐に渡る上、レンタルタオルやサウナセットの貸し出しなどと重なることもあります。受講生は接客に慣れないこともあり、最初は鍵の受け渡しに戸惑う場面もありましたが、開店から2時間、3人の受講生はフロント業務を無事こなし、この日の講座は終了。

めったにないこととはいえ、突然発生した梅の湯の停電に受講生は驚きつつも「実際のトラブルを目の当たりにして良い経験が積めた」と話す方もいました。

 

翌24日からの3日間は、電源ブレーカーの修理を終えて営業を再開した梅の湯で講座を開催。講座内容は桜湯と同様ですが、桜湯よりも自動化されている梅の湯のバックヤードや、規模が大きく1階と2階に分かれている施設の避難経路などの説明を受けました。

2日目からは当初の予定通り、梅の湯で講座を実施

 

完全自動化されている梅の湯のバックヤード

 

梅の湯では地下にろ過器や塩素添加装置が設置されている

 

普段は閉じられている緊急用扉を開放し、急病人の搬出経路を確認

 

見学の後は、経営に関する質疑応答の時間も設けられた

 

脱衣場でロッカーと鍵の並び順を確認

 

並び順に仕分けされているロッカーの鍵

 

営業時間中のフロント業務では、桜湯同様に下足札と鍵の交換を初めて経験した受講生の皆さんは、慣れない作業に戸惑う場面も見られましたが、佐伯さんのサポートを受けながら接客をこなすうちにスムーズに鍵の受け渡しができるようになりました。

こうして桜湯で1日、梅の湯で3日間行われた「第3回 銭湯の担い手養成講座 ステージ3」は無事終了し、計12人の皆さんが今年度のステージ3を修了しました。

ステージ3を修了した受講生の情報は、銭湯の借り手や働き手を求める都内の銭湯経営者が閲覧できる「担い手情報サイト」に登録され、銭湯への就労機会へつながる仕組みです。

2023年12月にはこれまでの担い手講座修了者を対象に、2回目となる賃貸銭湯物件の内覧会が開催されました。講座修了生の中から新たな銭湯の担い手が登場することが期待されます。

なお、今後の「銭湯の担い手養成講座」については、詳細が決まり次第、ホームページやSNSで告知します。

「銭湯の担い手養成講座」の特設サイト:https://www.1010.or.jp/ninaite/