【最終更新日 2020年6月1日】2020年6月1日現在の各銭湯の状況に合わせて原稿の一部を修正しました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、4月10日に東京都は多くの業種や施設に休業要請を行った。その中に銭湯が含まれていないのは、公衆浴場法に「地域住民の日常生活において保健衛生上必要なものとして利用される施設」と定義されており、銭湯は地域住民にとって社会生活の維持に必要なライフラインであることが考慮されたためだ。
さて、外出自粛要請が出されていることもあり、現在多くの銭湯で客足がひどく落ち込んでいる。休業している銭湯もあるが、都内のほとんどの銭湯ではお風呂を必要とする利用者のために感染予防対策を行って営業を継続中だ。
東京都浴場組合では、銭湯利用者に来店時の注意を告知しているほか、組合に加盟する各銭湯に対しては次のような指示を行っている。
・施設の衛生管理、定期的な換気を徹底し、特に接触感染を予防するためには、人がよく触れる箇所(ドアノブ、ロッカー等)の念入りな消毒、清掃を心がける。可能であれば、入口や脱衣場等に手指消毒剤等を配置し、従業員はマスクを着用する。
・経営者や従業員は当面の間、毎日の検温、入念な手洗いを励行し、体調管理、感染予防に努める。万が一、感染の恐れがある場合は、即座に保健所へ報告し、その指示に従う。
この他、銭湯に置いてある消毒用の次亜塩素酸ナトリウムを希釈した拭き掃除用消毒薬の作り方も指導している。これらの指示をはじめ、各銭湯では具体的にどのような対策を行っているのか銭湯経営者に話を聞いた。
「銭湯経営者に聞く 新型コロナウイルス対策について その2」はこちら
「銭湯経営者に聞く 新型コロナウイルス対策について その3」はこちら
◆保健所の指導を得て消毒に力を入れ空間除菌も/豊島区・妙法湯 柳澤幸彦さん
コロナウイルス対策は、豊島区保健所の指導によりスタッフのマスク使用はもちろんのこと、ロッカーやドアノブを定期的に消毒スプレーで拭いているほか、アロマスプレーの散布を行っています。洗面所や洗面台の消毒も通常より回数を増やしました。
お客様にはスプレーを設置して手の消毒に協力してもらっています。営業時間の短縮を保健所に提案したのですが、逆にお客様が重なるとの指導で、深夜営業の時間だけをカットしました。豊島区の銭湯は全店24時で閉店しています。飛沫防護用のガードはお客さんの抵抗があるようで、今のところつけていません。なお、妙法湯ではサウナは5月6日まで中止しています。
洗面所にはハンドソープと消毒液
アロマスプレー(左)と消毒液を設置
スタッフはマスクを着用
◆感染予防のためにアクリル板でガードを設置/品川区・富士見湯 渡部泰男さん
営業時間は通常23時半までですが、22時までにしました(※5月28日より通常の営業時間に戻りました)。お客さんは3割減といったところでしょうか。今後の状況次第ではもっと減るかもしれませんね……。
フロントは飛沫感染を予防するためにガードを設置してあります。長期戦になるのを想定して、ビニールではなくアクリル板をビスで打ち込んで自作しました。工作は得意なので(笑) フロントにはアルコール消毒液を設置して、お客さんにも消毒に協力してもらっています。
そのほか、長居を避けてもらうため、ビールなどアルコール類の販売は自粛しています。政府のマスク支給が始まったので、お客様には入店の際にマスク着用をお願いするように貼り紙をしました。
フロントにはアクリル板を設置してがっちりガード
フロントにはアルコール消毒薬を設置
マスクの着用をお願いする告知も
銭湯お遍路やスタンプラリーといった銭湯めぐりをはじめ、若者の間の銭湯ブームやサウナブームなど、銭湯の楽しみ方は多様化してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響により銭湯は「地域住民の公衆衛生を守る」という原点に戻り、お風呂を必要とする利用者のために対策をとりながら懸命に営業を続けている。編集部では他の銭湯の取り組みも今後紹介していく予定。利用者も銭湯を訪れる際には東京都浴場組合からの案内を確認の上、感染防止にご協力をお願いしたい。
■新型コロナウイルスを含む感染症対策の基本は「手洗い」や「マスクの着用を含む咳エチケット」です。下記の案内をご確認の上、銭湯へお出かけください。