ここ何年か、「若者の○○離れ」ということがよく言われています。中には本当かなぁと思うものもありますが、車・飲み会・旅行などなど、ちょっと上の世代(30代後半以上?)が楽しんでやっていたことが、次々にピックアップされていますね。さて、我らが銭湯はどうでしょう? 内風呂のある家が95%を越えている現在、「若者の銭湯離れ」は起きているのでしょうか?
まず、都内のある私立大学で、銭湯について約40人の学生にアンケートをしてみました。第1問は、「あなたは、銭湯にどのくらい行きますか?」です。
1週間以内に行ったという学生は、残念ながら0人……。1か月以内が3%(1人!)、半年以内が22%、1年以内が11%、1年以上前が44%、そして、1度も行ったことがない学生が19%でした。思ったより行っているなと思った方も、逆に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
意外だったのは、「山」が分かれていることです。「半年以内」の山と、「1年以上前」と「1度も行ったことがない」の山があります。どうやら、半年に1回くらいは行くグループと、全く行かないグループに分かれているようです。「1年以上前」には、子どもの頃に親に連れられて入った、という人々も入っているのではないでしょうか。
さて、皆さんは銭湯に誰と行っていますか? 僕は大学の先輩や妻と行ったこともありますが、最近はもっぱら一人で行って自分のペースで楽しんでいます。イマドキの大学生はどうなのでしょう? ということで次の質問は、「最近銭湯へ行ったとき、誰と行きましたか?」です。「一人・家族・友人・恋人・その他」から選んでもらいました。誰と行くのが一番多いと思いますか? どんな順位になるか、予想できますか~?
第1位は、「友人」です。実に47%、ほぼ半分! いい「銭友」がいて心強い限りです(笑)。続いて2位は、「家族」です。子どもの頃のことも含まれていると思います。その次の3位が「一人」で13%です。意外と少ないですよね?? 残りの、「恋人」と「その他」は一人ずつ(3%)でした。名曲「神田川」の世界は遠くなりにけりですね。「その他」は、部活の先輩・後輩などかもしれません。僕の近所の銭湯には、大学運動部の学生っぽい人たちがよく来ますので!
こうして眺めてみると、家族や友達とたまに行く、というのが大学生の銭湯体験のようです。「誘われれば行く」ということであれば、銭湯の立場から見れば、連れ立って出かけやすい営業戦略(2人以上同時来店の場合は割り引くとか、何かプレゼントするとか?)が意外と効くのかもしれません。
ちなみに、選択肢ではなく自由に書いてもらう質問もしました。
銭湯についてのイメージや、銭湯の「魅力的な点」や、「魅力的ではない点」についてです。学生たちは、銭湯には地元の年配の人が多くて若者は珍しいというイメージを持っているようです。また、広いお風呂でのんびりしてリラックスできること、いろいろな種類のお風呂やサウナがあること、昔ながらの裸の付き合いがあることに、魅力を感じているようです。
一方で、もっと設備が新しいほうがいい、値段がもっと安いといい、一人では行きづらい、お風呂を出た後に外を歩いて帰るのが嫌、などの理由で、積極的に足が向かないようです。なかには、どこにあるのかわからない、という意見もありました。
どうでしょうか? 「そうじゃねぇんだ!」と言いたくなることもあるかとは思いますが、特に銭湯が好きでも嫌いでもない大学生の実態はこんな感じです。どうやら友達と行くことが多いようですので、誘えば付き合ってくれる若者も多いのかもしれないと前向きに考えて、一声かけてみませんか。
(調査・文:銭湯ライター 濱 雄亮)