JR大塚駅から徒歩10分ほど、都電荒川線庚申塚駅からは徒歩1分。旧中山道に程近い巣鴨湯を訪ねた。豊島区の銭湯は妙法湯、五色湯など近年リニューアルが続いているが、巣鴨湯も昨年(2022年)10月8日に、外観、内装のすべてを一新してオープンしたばかりだ。
しゃれた構えの玄関からフロント脇ののれんをくぐって男湯の脱衣場へ入ると、全面に畳が敷かれていて、冬にもかかわずヒヤッとした感触とは無縁なのがうれしい。そして玄関の間口からは想像できないほど中は広々としていて、縁台のほか、ととのい椅子も複数置かれている。
いやがおうにも期待が高まるが、浴室への扉をあけてびっくり、なんと浴室の床も畳敷きだ! なんでも介護施設等で使われる耐水性に優れた樹脂製の畳を敷き詰めたそうで、タイルと違ってすべりにくく感触も温かい。浴室が畳敷きの銭湯はおそらく日本でここだけのはず!
そしてお風呂もすごい。水風呂が2種類、シルク風呂、寝風呂、ジェット、電気に加え、ちょっと熱めの内露天風呂(42℃)と湯船がずらりとならぶ。
そして、ととのいスペースとして男湯には外気浴が設けられている(なんとこちらも畳敷き!)。女湯のほうは個室状になっている内気浴で、ポプリが飾られてアロマが香り、男湯とは雰囲気が異なるスペースとなっている。ここまで男女共にととのいスペースが充実している銭湯は少ないのではないだろうか。
サウナは開店直後にもかかわらずサウナ室前に行列ができるほどの人気だが、回転がいいのでそれほど待たずに入室できた。室内はアチアチでも、20分おきのオートロウリュにより湿度が保たれていて息苦しさは感じない。
ちなみに、このオートロウリュは複数の金属製の桶を組み合わせた特製の「オケシャン」から水が滴るという仕掛けだ。「おけしゃんろうりゅう」と名付けられていて、経営者の遊び心が感じられてなんだか楽しい。なお、サウナは定員を超えた場合は入場制限を行っており空くまで受付順に待機するシステムになっている(ロビーで待てるほか、QRコードを読み込むことで店外からも呼出番号の確認が可能)。
サウナの向かいには2種類の水風呂があり、冷たいほう(15℃)ももちろんよいのだが、筆者には隣の美泡風呂(30℃)のほうが冷たすぎなくてちょうどいい。水と同化、いや溶け込んでしまいそうな居心地のよさは驚きだ。ちなみに美泡風呂は子どもたちにも大人気だそう。
お湯にマイクロバブルが溶け込んでいる真っ白なシルク風呂の隣は、寝風呂、ジェット、電気があるさら湯の浴槽で、電気風呂を示す「びりびり」のサインがおもしろい。独立したスペースになっている内露天風呂は「これぞ銭湯!」という熱めのお湯で、寒い季節は特に身にしみてありがたい。それぞれの湯船に順繰りに入るだけでもあっという間に時間が過ぎていく。
脱衣場には上部から風が吹き出すことで全身を乾かせる最新設備の「ぼでーどらいやー」が設置されている。ちなみにお湯は軟水を使用しており、ちょっとヌルッとした感触がするかもしれないが、乾けばサラサラ・スベスベになるのがうれしい。
4代目店主の中村有紀さんは「サウナーからお風呂好きまで、老若男女を問わず全ての年代の方が楽しめるように、私が入れたいものを全部入れました(笑)」と話す。その言葉通りに新たな試みと最新の設備を導入しつつ、随所に和を感じさせるアイテムもあって落ち着いた雰囲気の銭湯となっている。長居必至の居心地のよさを、ぜひ体験してほしい。
(写真・文:編集部)
【DATA】
巣鴨湯(豊島区|庚申塚駅)
●銭湯お遍路番号:豊島区 31番
●住所:豊島区巣鴨4-13-9(銭湯マップはこちら)
●TEL:03-6826-9126
●営業時間:15~24時、土・日曜12~24時
●定休日:火曜
●交通:都電荒川線「庚申塚」駅下車、徒歩1分/JR大塚駅より徒歩11分
●ホームページ:–
●Twitter:@Sugamoyu_1010
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