東急大井町線下神明駅から徒歩5分、JR山手線大崎駅からは徒歩15分の距離にある「西品川温泉 宮城湯」。大崎駅前の巨大なオフィスビル群を通り抜けた先にある3階建ての銭湯で、住宅街にあっては近くを通れば自然と目にとまる存在感だ。

1952(昭和27)年に創業し、30年前に現在の建物にリニューアルをした宮城湯は、2階に受付があり、1階と3階に浴室が分かれる特徴的なスタイルだ。各浴室ではカランや浴槽の配置に違いはあるものの、温泉浴槽・ジェットバス・寝湯・サウナ・水風呂が共通で備わっている。さらに店名にある通り、施設地下から湧く温泉を銭湯価格で楽しめることも、大変うれしいポイントだ。しかも3階には露天風呂を備えており、都会のど真ん中で露天の温泉に入ることができるのだから「最高」の一言だ。

サウナは男湯が100℃、女湯が92℃に温度設定されており、それだけで十分な熱さだが、数年前に張り替えた壁面のタイルからの輻射熱により体感温度はそれ以上に感じるだろう。水風呂もチラー(冷却水循環装置)でしっかりと冷やされており、冬場はもちろん夏場でも冷水浴ができる。しかも3階の露天スペースにはベンチがあり、ゆっくりと外気浴を楽しむことができるため、サウナ好きの間でも評判となっている。

毎週木曜日に男湯・女湯のフロアが入れ替わるため、事前に公式ホームページ公式Twitterでチェックすることをおすすめしたい。

今回、宮城湯の店主・佐々木駿氏にお話をうかがう機会をいただいた。

1階の広々とした浴室。さまざまな浴槽があり、カランのスペースもゆとりがある

3階の浴室には、変わった形のカランも。浴室奥には露天風呂がガラス越しにうかがえる

―― 本日、施設をご案内いただき、改めてとても大きな銭湯だなと驚きました!

佐々木駿氏(以下、佐々木):自分自身は、今の施設に建て替えたころは生まれたばかりでしたので、先代から聞いた話にはなりますが、1992年に改築工事をするにあたり、もともとあった建物を補強工事するよりは、ゼロから作り直したほうがよりよい施設にできるという判断となり、今のビルの形になったようです。3階の露天風呂も、設計案をいろいろと試行錯誤する中で生まれたアイデアなのですが、今では宮城湯の名物の一つになりましたね。

―― 露天風呂がある、というのは差別化していくうえで強い武器ですね。

佐々木:おっしゃるとおり、露天風呂がある銭湯はそれほど多くないと思います。ただ、品川区に限っていえば、戸越銀座温泉さん、中延温泉 松の湯さん、武蔵小山温泉 清水湯さん、新生湯さんなどにも露天風呂はあるので、「露天風呂付き銭湯地帯」といえるかもしれません。

―― 品川区の方は、露天風呂のある銭湯を選び放題ということですね、うらやましい! 露天風呂は、サウナ後の休憩スペースとしてもぴったりですが、やはりサウナ好きの方もよくいらっしゃいますか。

佐々木:昨今のサウナブームを受けて、新規のお客様はやはり増えています。露天スペースでの外気浴もやはり人気で、「今週、3階は男湯? 女湯?」というご質問は定期的にいただきますね。その一方で、実は1階にもサウナ好きの方におすすめポイントがあるんです。

―― 気になります!

佐々木:実は、水風呂の温度は1階のほうが冷たいんです。なぜかというと、単純に水風呂用のチラーが1階にあるためです。冬場はそこまで差はないのですが、夏場は1階から3階に水を上げている間に水温が上がってしまうので、どうしても1階の方が冷たくなります。ですので、水風呂好きの方は、その点もご検討いただきたいです。

バイブラありの水風呂は水量もたっぷりで、コアなサウナ好きの方も満足できるはず

3階の露天風呂は非常に開放感があり、昼夜関わらずリラックス間違いなし!
サウナ好きにとっても外気浴スペースは貴重

―― 水風呂をとるか、外気浴をとるか……非常に悩ましい選択ですね(笑)

佐々木:ぜひ複数回お越しいただき、両方楽しんでいただけましたら(笑)

―― この情報をサウナ好きの方に発信させていただきます! ただ、サウナ好きの方は情報感度が高いので、すでにご存知かもしれませんね。

佐々木:サウナ好きの方たちがSNSなどで活発に情報収集されている、というのは実感しています。新規のお客様がいらっしゃる場合、大体インターネット上の記事や口コミで宮城湯の名前をご覧になってお越しくださるようです。その方がさらに友達に口コミをして、初来店時は一人だったのが、2回目は複数名でいらっしゃる、という場面もよくありますよ。そうして来てくださる方は、やはり若い方が多いので、ここ数年で客層として若い方が増えたな、という実感はありますね。

サウナ室は合計5名前後の入室が可能。サウナ内にはテレビもあり

入り口に1階・3階が男湯・女湯のどちらなのか記載されているのでチェックを!

―― ここ数年で客層も変わってきているのですね。

佐々木:そうですね。もともと銭湯は地域のコミュニティスペースとしての意味合いがあったと思います。それは今も変わらないのですが、現在もコロナ禍が続いているので、どうしても施設内での会話を控えていただかざるを得ず、会話を主体としたつながりはなかなか促進しづらいです。

その一方で、会話が少なく静かな環境だからこそリラックスでき、銭湯に来やすくなったというお客様もいらっしゃって、施設サイドとしてはそういう方々により一層喜んでいただけるようにしていきたいなと思っています。

―― 「今後、こういったお客様に来てほしい」というのはありますか。

佐々木:特定の層の方に来てほしい、というよりも老若男女、近隣の方、遠くの方を含め、幅広い層に来ていただきたいと考えており、そのためのきっかけを作っていきたいです。

例えば、変わり湯は定期的に実施しています。家族でいらっしゃるお客様を例にすると、やはり香りやお湯の色が変わるとお子さんはすぐに気づきますので、お父さん・お母さんとのコミュニケーションが増えますし、イベントとして楽しんでいただけているな、と感じます。

サウナについても、昨年からいろいろとアロマを試しています。まだこの香りで行こう、という形にはなっていないのですが、こちらも変わり湯のように定期的にイベント化していきたいなと考えています。

なお、まだ詳細はお話できないのですが、今年(2023年)中に、施設の一部を少しだけリニューアルする予定があります。

―― それは楽しみです! 続報、お待ちしております!

(写真・文:銭湯ライター 中山英樹


【DATA】
西品川温泉 宮城湯(品川区|下神明駅)
●銭湯お遍路番号:品川区 15番
●住所:品川区西品川2-18-11(銭湯マップはこちら
●TEL:03-3491-4856
●営業時間:平日:15時~24時/土曜・祝日:13時~24時/日曜:11時~24時
●定休日:水曜
●交通:東急大井町線「下神明駅」駅下車、徒歩5分
●ホームページ:http://www.miyagiyu.co.jp/
●Twitter:@MiyaGi_ponpoko

※記事の内容は掲載時の情報です。最新の情報とは異なる場合がありますので、予め御了承ください。

入り口で宮城湯を見守るマスコットのたぬき。
お客様の間では「たぬきのお風呂屋さん」と話題に!?

1階の浴室にもくつろぐたぬきの姿が!
宮城湯にお越しの際はぜひとも探してほしい