2024年で創業101年。肌に優しい「軟水」がウリ


すべてのお湯が天然地下水で、軟水

JR総武線・東中野駅東口から徒歩2分。出口からすぐのケバブ店や、飲み屋横丁、人気のステーキハウスなどを横目に通りを進み、1本裏道に入った場所に佇む銭湯「アクア東中野」。

もとは1923(大正12)年以前に千駄ヶ谷にて創業し、1956(昭和31)年に現在地へ移転した際に「富士の湯」の屋号で開業。1992(平成4)年に現在の建物へ建て替え、それを機に屋号を「アクア東中野」に改名。2023年には100周年を迎えた。

2010(平成22)年にも全面リニューアルを行い、年々アップデートされているこちらには、ジェットバス、あつ湯、サウナなどはもちろん、男女共に露天風呂、外にはなんと裸で泳げるミニプールまであるという天国のような銭湯なのだ。

また、「アクア東中野」という名前が示す通り、こちらの銭湯を語る上では「水」の魅力が欠かせない。「軟水の気持ちよさを味わってほしい」という先代の思いで、都内でもいち早く軟水システムを導入。湯船のお湯も、水風呂の水も、カラン(蛇口)から出る水もすべて井戸水を「軟水」にしており、肌をやさしく包み込む美肌系の温泉のような気持ちよさだ。体を洗っている段階で、すでに肌がつるつるすべすべになるような感触に驚くことなかれ。

ちなみに、中野界隈の銭湯は、ハイレベルなサウナで人気の松本湯をはじめ、健康浴泉、松の湯(新宿区上落合)、たからゆ、天神湯など、ここ数年でリニューアルした銭湯が多い。銭湯のはしごにもおすすめな激戦区なのである。


男湯浴室ではテレビを見ながらお湯につかれる

窓を大きく設計し、自然の光を取り込むことにこだわったという浴室。オープン直後の明るい時間は特に気持ちよく、日が差し込み、開放的な気分に。

 

2023年にサウナストーブを増設! オートロウリュで熱風を巻き起こす


男湯のサウナは15人用。小窓からはプールも見える

2023年に従来の遠赤外線サウナに、新たなストーブを追加で導入。遠赤外線ストーブと、拡散用ファン付きオートロウリュシステムのダブルストーブで温めるサウナでは、現在20分に1回のオートロウリュを実施。ストーブの周りから、自動でアウフグースのような風を起こす仕組みも搭載。

遠赤外線ストーブのみだった頃も、湿度が高めで気持ちの良いサウナだったが、オートロウリュシステムが登場したことにより、かなりの熱風に包み込まれ、より芯から温まるサウナに進化をとげた。


女湯のサウナは10人用。テレビあり


プシャーとおもむろに噴射が始まるオートロウリュ


水風呂の温度は男女共に14℃ほど

サウナ室では、月に数回、白樺の香りのロウリュや、不定期でほうじ茶のロウリュも実施している。

また、かなり「導線がいい」のもサウナ好きにはたまらない。男湯はサウナを出て数歩歩けば目の前に水風呂、そのすぐ横のドアから外に出ればミニプール、外気浴ができる腰掛けベンチも。


男湯浴室。サウナ室のすぐ前にととのい椅子が


女湯浴室。こちらもサウナ・水風呂前に椅子がスタンバイ  

 

外気スペースの充実は中野区イチ!? 露天風呂とミニプールで夢見心地


女湯の露天風呂

浴室から外気スペースに出ると、男女共に露天風呂と、ミニとはいえどれっきとしたプールが! ととのった後や、長くゆったりつかりたいときに重宝する露天の岩風呂は風情があり、曜日によって薬湯が変わる。中野区で露天風呂がある銭湯はかなり貴重だ。


男湯のミニプール

ミニプールの全長は、男湯が7m、女湯は5mほど。平成4年に先代のアイデアで誕生し、当時はもちろん今でも銭湯としてはかなり珍しく貴重な外プール。お湯やサウナでほてった体を、ひんやりしたプールに入って裸で泳ぐ解放感は春夏秋冬たまらないが、筆者の個人的にイチオシなのはやはり真冬。外気温に左右されるミニプールは、冬になるとキンキンの冷たさ。サウナの後に汗を流して、水風呂代わりに冷えたミニプールで泳ぐのはまさに至高の瞬間。ああ~生きててよかった、とつい思ってしまう。

フィンランドでは冬のサウナ後に凍った湖に入るように、中野区では冬のサウナ後は、アクア東中野の冷た~いミニプールですっきりととのうのがおすすめだ。

 

炭酸泉や、ジェットバス。女湯にはシルキーバスも


きめ細かい泡が気持ちいいシルキーバス

「いいお湯だな」と思ってほしい。気持ちいい気分になって帰ってほしい」と語る4代目の石井健介さん。

お湯の温度は基本的に男女共に41℃。あつ湯といっても老若男女問わず入りやすい温度でゆっくりくつろげる。ぬるめの炭酸泉は、男女共に約38℃。


日の光が気持ちよく注ぐ女湯浴室

女湯の浴室には、なんとミラブルやリファなどの高級シャワーが備え付け。キメの細かいミストシャワーを楽しめるが、落とすと壊れてしまうので、取り扱いは慎重に!

 


女湯の浴室には高級シャワーが備え付けられている

 

「とにかくお客さんに喜んでほしい」 その思いで、日進月歩


ジェットバスが体をほぐしてくれる

設備として進化をとげたサウナはもちろんだが、先述の美容にいいシャワーヘッドにはじまり、女湯脱衣場のドライヤーもダイソン、パナソニックビューティー、リファを設置というこだわりよう。高性能ドライヤーを20円で使えるありがたみに感謝するほかない……!

また、シャンプーリンスは男女共にオレンジの香りで、髪がきしみづらいものをセレクト。清潔感のある脱衣場には自販機もあり、「あ、飲み物買い忘れた」とフロントに戻る必要もなし。

すべて「日々の疲れをゆっくり癒やしてほしい。気持ちいい気分になって帰ってほしい」という思いを体現するように、設備やアメニティを日々きめ細やかに更新。良さそうだな、と思ったものや思いついたアイデアは、これまでもいち早く導入してきたそう。

学校や仕事帰りでも、休日でも。いつ行ってもあたたかく気持ちよく迎えてくれるおだやかな優しさが漂う銭湯。

あ~なんだか疲れたな。
そんな時に思い出してほしい、東中野のオアシス的銭湯へぜひ足を運んでみてください。
(写真・文:銭湯ライター 林田紗央莉


【DATA】
アクア東中野(中野区|東中野駅)
●銭湯お遍路番号:中野区20番
●住所:中野区東中野4−9−22(銭湯マップはこちら
●TEL:03-5330-1126
●営業時間:15~24時
●定休日:月曜(祝日の場合は翌日休)
●交通:総武線「東中野」駅下車、徒歩2分
●ホームページ:https://www.aqua-higashinakano1010.com/
●X(旧Twitter):@aqua_tokyo1010

※記事の内容は掲載時の情報です。最新の情報とは異なる場合がありますので、予め御了承ください。


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