テレビなどで活躍中のお笑いコンビ、インパルスの堤下敦(つつみしたあつし)さん。子どもの頃から銭湯に親しみ、サウナも大好きとか。昨年参加した世田谷区の銭湯スタンプラリーをきっかけに銭湯のよさを改めて感じ、「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格までとってしまったそうです。今年も開催される世田谷区の銭湯スタンプラリーでは、PRポスターに登場する堤下敦さんに、銭湯やサウナの魅力について伺いました。

■6色のTシャツを求めて、世田谷銭湯めぐり

 元々サウナが好きで、銭湯やスパには一人で行くだけでなく、芸人仲間と連れ立ってよく行っていたんです。特に「そしがや温泉21」にはちょくちょく行ってたんですが、昨年の夏、世田谷区内の銭湯で行われるスタンプラリーのポスターを目にして、おもしろそうだから参加しました。銭湯をまわってスタンプを集めると、6軒目でTシャツやトートバッグがもらえるんですが、結局、世田谷区内のほとんどの銭湯をめぐることになっちゃいました。

 というのも、Tシャツは6色用意されていたんですが、銭湯によってTシャツの色が違うんです。6軒まわってTシャツをもらったら新しい台紙もくれるので、いろいろな色を揃えたいなと思うようになって。ネイビーをもらいに藤の湯、スカイブルーは月見湯温泉という具合に、あちこちの銭湯に行ってみたんです。そうすると、店ごとに雰囲気や設備が全然違っておもしろい。どうせなら世田谷の銭湯約30軒、全部行ってやろうと。それで銭湯に通いつめて、結局去年はTシャツを20枚くらい、トートバッグを3つもらいました。ゾウのイラスト入りTシャツは、人にあげるとすごく喜ばれましたよ。

 たくさん回ってみると、それぞれのお店が全然違うのがわかりますね。建物や設備はもちろん、お店の人もいろいろ。例えば、スタンプを押すときに丁寧に押す人もいれば、「あーはいはい」バンバン!! とせっかちにスタンプを押すおばちゃんがいたり。時間帯にもよるんでしょうけど、お客さんが全然いなくて「大丈夫?」って心配したお店も。でも、まだ一軒行けてないところがあるんです。22時くらいに終わる、営業時間がすごい短い店。そこだけはなかなか行けない。まぼろしの銭湯と呼んでいます(笑)。

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■月極めロッカーを借りるほど、ぞっこんの「四季の湯」

 そんなふうに銭湯めぐりをする中で、ものすごく気に入って通うようになったのが、「世田谷温泉 四季の湯」。どのくらい気に入ったかというと、月極めロッカーを借りてお風呂セットを置いているぐらい(笑)。ほぼ毎日のように通う「マイ銭湯」ですね。サウナが好きなんですけど、いいサウナなんですよ。水風呂も20度だったのをお願いして18度に下げてもらったり、わがままを聞いてくれる(笑)。それにとにかく掃除が行き届いていてきれい。ご両親と息子さん、娘さんで店をやってらっしゃるんですけど、みなさん明るくて楽しい人たちでね。ロビーが広くてくつろげるので、ついつい話し込んで長居しちゃう。そんな人情味あふれるところも、お気に入りの理由です。

 しょっちゅう来ているから、お客さんとも仲良くなりましたよ。近所の無国籍料理屋で働くネパールのお兄さんと、よくサウナで一緒になるんです。「ネパールにもサウナあるの?」って聞いたら「ないから好きなんです〜」って(笑)。それと、たまたまなんですけど、自分が出ているバラエティ番組がサウナのテレビで流れていたとき、自分がしゃべる場面で爆笑しているお兄ちゃんがいたんです。そのとき自分はサウナハットをかぶっていて顔は見えなかったんですけど、うれしくなってそのお兄ちゃんに声を掛けたら「うわあ、なんでここにいるんですか!」って、すげえ驚かれました。「いや、サウナ好きで通ってるんだ」って。その人、近所の美容師さんだったんですけど、それで仲良くなったり。いろいろな人との出会いも銭湯の魅力ですよね。

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■マイシャンプーを勝手に使うな!

 元々サウナは好きだったんですけど、昨年のスタンプラリーに参加したのをきっかけにサウナのことをもっと知りたいな、と思って「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格をとりました。資格があれば、アドバイスも受け入れてもらいやすいですね。サウナの魅力ですか? 静粛と集中ですね。仲間と来ても、サウナにいる間はほとんどしゃべらない。みんなで来ているのに無言で過ごす。汗をかいたら水風呂につかってクールダウン。それを繰り返すと、いやなことも体の疲れも忘れて、心身ともにすっきりする。全部チャラになる感がいいんです。銭湯だけど、むしろサウナに入りに来ている感じかな。

 そうそう「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格を持つ身としては、マナーについて一言いいたい。昔は騒いだり走ったり、マナー違反をすると怒るおじさんがよくいたけど、今はそんな人はいないから、銭湯のマナーが身についていない人がいる。お風呂に入るときは、ちゃんと体を流してから。サウナに入るときは体を洗って、ちゃんとふいてから入る。水風呂は汗を流してから入る。そういった点は、みんなが気持ちよく入るために注意してほしいですね。話がずれますけど、銭湯にはボディソープやシャンプーが置いてありますよね。それと間違えたのか、知っててなのかわからないけど、風呂カゴに入れてあるマイシャンプーを使われたことがあるんですよ。人の物だって、見りゃわかるだろ! ぼくのカゴはドピンクで、明らかに私物の感じがすると思うのですが!(笑)

 ちなみにサウナに欠かせないのが水風呂ですけど、世田谷で一番冷たいのは、三軒茶屋の駒の湯ですね。だいたい20℃前後のところが多いと思うんですけど、駒の湯は14−15度くらいで、ダントツです。水風呂といえば、鶴見にあるスパはなんと9度! サウナもすごい熱くて、水風呂と行き来すると温度差がきつくて長くいられない。トータルで考えたら、サウナ90度くらい、水風呂18度くらいが自分にはちょうどいいみたいです。

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■人間ウオッチングで、銭湯の楽しさ倍増!?

 銭湯に来ると世の中いろいろな人がいるんだなって、思いますね。例えば、サウナってよくテレビが置いてありますよね。で、チャンネルって固定じゃないですか。ところがある銭湯のサウナに入ったとき、サウナなのにテレビのチャンネルが変わる。なんで変わるのかな? と思ってたら、タオルの下に「どのメーカーでも変えられるリモコン」を持ってるおじさんがいた。普通、持ってこねーだろ(笑)。

 サウナの中で横になって足をあげている人もいますよ。足がむくむ人で、足を上にあげて寝そべると楽らしいんです。まあ、僕は慣れてるけど、知らない人だとびっくりするかもしれません。倒れてるみたいだし(笑)。

 あとは洗い場のほうですけど、がっしりした体つきをしたおじさんの二人連れ。片方のおじさんが、亀の子だわしでもう一人の背中をゴシゴシ洗い出したんです! 亀の子だわしですよ! え〜って、思ったけど、よく見るとすごく背中がきれいなんですよ。不思議ですよね。まっ赤っかでしたけど(笑)。他の店でも、亀の子だわし使っている人を見たことがありますけど、やっぱり肌がきれいでしたね。僕はやろうとは思わないけど(笑)。

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■「マイ銭湯」を見つけてほしい

 銭湯の魅力は、湯量が多くて深い風呂やサウナ、水風呂、露天風呂など、家では入れない設備があるところ。それに仲間とも来られるし、友人が新たにできたり、さらには疲れもとれるし、気持ちのリセットもできる。それが460円と安い。銭湯は年々減っていますけど、若い人ほど銭湯へ足を運んでほしいですね。人によって好みが違うから、僕にとっての「四季の湯」みたいな、お気に入りの「マイ銭湯」を見つけてもらえたらうれしいなと思います。

 今年も7月1日から世田谷の銭湯スタンプラリーが始まるので、世田谷周辺に住んでいる人はこれをきっかけに「マイ銭湯」を見つけてほしいですね。

(写真:望月ロウ 文:タナカユウジ)

 

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【プロフィール】
堤下敦(つつみしたあつし)さん 1977年生まれ、神奈川県横浜市出身。1998年NSC同期の板倉俊之とお笑いコンビ、インパルスを結成し、ツッコミを担当する。テレビ・ラジオ・映画などで幅広く活躍中。
Twitter:https://twitter.com/tsutsumishi


【取材地DATA】
世田谷温泉 四季の湯(世田谷区)
●銭湯お遍路番号:世田谷区 33番
●住所:世田谷区桜丘2-18-26
●TEL:03-3427-6312
●営業時間:15〜24時
●定休日:月曜
●交通:小田急線「千歳船橋」駅下車、徒歩3分
●ホームページ:https://www.setagaya1010.tokyo/guide/setagaya-onsen-shiki-no-yu/
銭湯マップはこちら


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堤下さんがお気に入りの四季の湯のサウナ

 

【世田谷湯屋めぐり】
 2016年7月1日〜9月30日まで、堤下さんがPRに協力する銭湯スタンプラリー「世田谷湯屋めぐり」が実施されます。このイベントでは6軒の銭湯をめぐるとTシャツがプレゼントされます。詳しくは、世田谷区浴場組合のHP(https://www.setagaya1010.tokyo/)をご確認ください。

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