西武池袋線椎名町駅の南口を出て、煉瓦敷きの歩道を進むと、「五色湯」と書かれた立派な煙突が見えてくる。初めて訪ねる銭湯の煙突を見つけた時の安堵感は格別である。
昭和27(1952)年創業の五色湯(ごしきゆ)は、今年(2022年)でちょうど70年の節目を迎える。都内でもここだけの「五色湯」という屋号は、初代ご主人の一郎さんの発案で、近所にある目白不動が五色不動の一つであることにちなんで付けられた。
創業当時は瓦屋根で木造の銭湯だった建物を、昭和41(1966)年に今のビル型の銭湯に建て替えた。そして今年、今井健太郎氏の設計により全面的な改装を行い、9月15日にリニューアルオープンを果たした。
ロビーには昔ながらのマッサージ機、畳表が敷かれた脱衣場にはレトロな広告が並び、昭和を感じさせる。今回のリニューアルを機に店を継いだ3代目の柳澤裕太さんは「心の湯治場としての役割を担いたい」と語るが、そんな裕太さんの気持ちが、どことなくホッとするレトロな店の雰囲気に現れている。
浴室を見ると、浴槽設備は一新されたものの、壁面のタイル絵はそのまま残して浴室に彩りを添えている。新たに設けられたサウナ設備も、いうまでもなく素晴らしい。個人的には深くて熱めのシルク風呂がたまらなく好きである。
なお、設備は屋号にちなみ中温湯は「赤」、高温風呂は「黄」など、5つの設備が「五色」と関連づけられている。五色がそれぞれ何を示しているのかは、ホームページでご確認を。
さて、古くからこの地で商売を営んでいるという五色湯向かいの酒屋の店先では、撮影時、風呂上がりのお客さんがビールを片手に涼んでいた。風呂屋に酒屋。昔ながらの商売が根付いている町は魅力的である。
(写真家 今田耕太郎)
【DATA】
五色湯(豊島区|椎名町駅)
●銭湯お遍路番号:豊島区 13番
●住所:豊島区目白5-21-4(銭湯マップはこちら)
●TEL:03-3952-7237
●営業時間:16~24時、土・日曜15~24時(入浴受付最終23時30分、サウナ最終受付23時)
●定休日:水曜
●交通:西武池袋線「椎名町」駅下車、徒歩3分
●ホームページ:https://goshikiyu.jpn.com/
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3代目の柳澤裕太さん
今田耕太郎
1976年 北海道札幌市生まれ。建築写真カメラマン/写真家。
2014年4月よりフリーペーパー「1010」の表紙写真を担当。2015年4月からはHP「東京銭湯」のトップページ写真を手がける。
http://www.imadaphotoservice.com/
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