今回撮影した銭湯は、11月1日にリニューアルオープンをしたばかりの新宿区の栄湯。

約3ヵ月の工事を経て生まれ変わった栄湯は、白を基調に構成されており、浴室には鮮やかな青色の光が降り注ぐ今までに見たことがない「異次元」の銭湯空間が広がっている。

栄湯がこの地で銭湯を始めたのは70年以上も前のこと。今のご主人一家がこの地に移って来た50数年前は木造の銭湯で、周りには商店が立ち並び、今とは少し違う町並みだったらしい。30数年前に今のビル型銭湯に姿を変え、今回のリニューアルでは地域性や時代の変化を読み取って華麗なる進化を遂げている。

リニューアルするにあたり、設計士と半年前から打ち合わせを重ねた結果、近隣の哲学堂公園に繋がるということで「釈迦サウナ」と「孔子の湯」が設けられた。

また、ロッカーや椅子などの備品選びも細部までこだわり、様々なお客さんに気持ちよく利用してほしいという、ご主人と女将さんの願いと設計士のアイデアが融合した、きめ細かな心配りが感じ取れる新しい栄湯が完成した。

電気の明かりがなかった時代は、この栄湯の様な薄明かりの下で先人たちが悟りを開き、思想に磨きをかけていたのでは? と思いを馳せながら、私が70年以上前から銭湯の写真を撮っていれば栄湯をモデルに「銭湯進化論」を提唱していたかもしれない、なんてことも考えさせてくれる銭湯である。

(写真家 今田耕太郎)

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【DATA】
栄湯(新宿区|落合南長崎駅)
●銭湯お遍路番号:新宿区 1番
●住所:新宿区西落合2-6-2
●TEL:03-3953-6562
●営業時間:15~24時
●定休日:月曜、金曜
●交通:都営大江戸線「落合南長崎」駅下車、徒歩8分
●ホームページ:http://1010yuge-g.jp/
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今田耕太郎

1976年 北海道札幌市生まれ。建築写真カメラマン/写真家。

2014年4月よりフリーペーパー「1010」の表紙写真を担当。2015年4月からはHP「東京銭湯」のトップページ写真を手がける。

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