今回撮影した銭湯は板橋区の功泉湯。都営三田線西台駅から徒歩8分ほどのところにある。
創業は昭和41年と比較的新しい銭湯ではあるが、51年前に建てられた立派な千鳥破風は今も綺麗に残っている。功泉湯の目の前には首都高5号池袋線の高架がそびえ立つという、首都圏ならではの環境は、今までに撮影をしたことがない風景である。
そして、今も薪でお湯を沸かしているため、店先に積まれた材木が、この瞬間を貴重なものにしている気がする。
銭湯を10年以上撮影していても、今更初めて知るということがざらにある。今までなぜ気にも留めなかったのだろうと反省することが多い。その中でも最近知って驚いたのが、功泉湯や燕湯(御徒町)など、溶岩らしき物を積み上げた壁面装飾は、富士山の溶岩を利用している可能性が極めて高いということ。
功泉湯に限っては、女将さんも先代からそう聞いているとのことなので、かなり信憑性は高いと思う。富士信仰の一端なのか不明ではあるが、先人たちの銭湯にかける情熱が伝わって来る。現在は富士山が国立公園に指定されているため、溶岩の持ち出しは法律に触れるので、今後新たに富士山の溶岩を利用して造られることは無いだろう。
人それぞれに個性があるように、銭湯にもそれぞれ個性があり、これまでに営んで来たその店ならではの魅力がある。百聞は一見に如かずというか、写真では伝わらない魅力が存分に味わえるので、ぜひ実物を見に功泉湯に足を運んでみて欲しい。
(写真家 今田耕太郎)
【DATA】
功泉湯(板橋区|西台駅)
●銭湯お遍路番号:板橋区 43番
●住所:板橋区西台2-17-20
●TEL:03-3933-2904
●営業時間:15~23時半
●定休日:水曜
●交通:都営三田線「西台」駅下車、徒歩8分
●ホームページ:http://1010itabashi.or.jp/detail/299/
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今田耕太郎
1976年 北海道札幌市生まれ。建築写真カメラマン/写真家。
2014年4月よりフリーペーパー「1010」の表紙写真を担当。2015年4月からはHP「東京銭湯」のトップページ写真を手がける。