銭湯の湯上がりの爽快感は、何物にも代え難い気持ちよさがある。銭湯の魅力の感じ方は人それぞれだが、ご利益を期待して通う人は極めて少ないと思う。
今回撮影した庚申湯は、屋号の由来となった健康長寿の守り神である庚申様が敷地内に大切に祀られている。信心深い私にとって、庚申湯の湯上がりは身体の隅々まで清められたようで爽快な気分になる。これは、きっと庚申様のご利益なのではと思っている。
庚申湯は、破風造りの構造をベースに番台をフロント式に改装した銭湯で、脱衣場の格天井からは古き良き時代が感じられる。浴室の湯気抜き窓から差し込む陽射しは、写真をよりドラマチックにしてくれる天からの恵である。
撮影で、銭湯という空間と対峙した時に神聖な空気を感じることがある。それは人々を癒し、汚れを洗い流して来た銭湯が持つ力なのかもしれない。
科学が進歩することで忘れがちな現代人の神仏を信じる心も、銭湯の記憶と共に次の時代に残してあげたいと、庚申湯にはそう思わせてくれる不思議な魅力がある。
(写真家 今田耕太郎)
【DATA】
庚申(こうしん)湯 (西東京市|田無駅)
●銭湯お遍路番号:西東京市 3番
●住所:西東京市芝久保町1-13-2
●TEL:042-465-0261
●営業時間:15〜23時
●定休日:月曜(祝日の場合は翌日休)
●交通:西武新宿線「田無」駅下車、徒歩15分
●ホームページ:http://www.koushin-yu.com/
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今田耕太郎
1976年 北海道札幌市生まれ。建築写真カメラマン/写真家。
2014年4月よりフリーペーパー「1010」の表紙写真を担当。2015年4月からはHP「東京銭湯」のトップページ写真を手がける。