銭湯体操のシリーズもいよいよ最終回。今回は入浴中の腹式呼吸の仕方です。

呼吸法には、肋骨を広げたり閉じたりする「胸式呼吸」と、お腹を出したり引っ込めたりすることにより横隔膜を上下させる「腹式呼吸」があります。腹式呼吸は、精神を安定させ血圧上昇を抑える、脳を活性化させるなどのメリットがあると、よくいわれています。

また、腹式呼吸をすると、脳波がリラックスしたα(アルファ)波やθ(シータ)波の状態になります。男性は腹式呼吸が多く、女性は胸式呼吸が多いといわれていますか、性別に関係なく腹式呼吸を心がけたいものです。

それでは腹式呼吸はどのようにすればいいのでしょうか。

この呼吸法は肋骨でなく、お腹を出したり引っ込めたりさせ、横隔膜を上下させることによって呼吸します。鼻から息を吸い、口から吐くのが基本ですが、鼻だけで吸ったり吐いたりしてもかまいません。口だけで呼吸することを口呼吸といいますが、これは精神状態を不安定にさせやすく、判断力の低下にもつながります。現代人は口呼吸をする人が多いといわれます。

では、水中で腹式呼吸をするとなぜいいのでしょうか。水中で腹式呼吸すると、吐くときに水圧が横隔膜を押し上げる手伝いをしてくれるので、楽に息を吐けます。吸うときには、水圧が抵抗になって呼吸筋が鍛えられます。これが水中での腹式呼吸の長所です。

ところで、今回紹介する腹式呼吸は足浴の状態で行ってください。シリーズで紹介している銭湯体操全般の、クーリングダウンを目的としたものだからです。

図1-①のようにお腹に手を当て、背筋を伸ばすように鼻から息を吸い込んでお腹に貯めます。そのあと息をゆっくり吐きながら、軽く体を前に倒します。

銭湯体操09_1-1

次に図1-②のように腕を上下左右に順番に上げたり開いたりして、深呼吸します。

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最後に図1-③のように手のひらをこすり、顔のマッサージをして気の流れを整えます。

この3つの動作は前述したように一連の銭湯体操のクーリングダウン、つまり「整理運動」のようなものです。1分ほど行えばいいでしょう。

銭湯体操09_1-3

私たちは胸式呼吸でなく、腹式呼吸が無意識にできるように習慣づけたいものです。まずは、意識して腹式呼吸を身につけることから始めてください。そのためにも、入浴中の呼吸運動は大変合理的です。銭湯でゆっくり運動できない時でも、この呼吸訓練は周囲に迷惑をかけずに行えるので、ぜひ普段から心がけてみてください。

このシリーズでは毎回申し上げていることですが、今回も年齢と体力に応じて無理のない範囲で行ってください。また、この運動を銭湯の浴槽で行うときは、他のお客様の迷惑にならないよう注意してください。なお、水中運動を禁止している銭湯ではご遠慮ください。


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