梅の湯（荒川区｜田端駅）　2016年秋新装オープン！　東京初の「水素風呂」とは!?　長居必須のモダンな下町銭湯

　近年、リニューアルした銭湯のニュースがよく届く。今回訪ねた「梅の湯」も、2016年9月5日にリニューアルオープンしたばかり。都電荒川線「小台」駅から下町情緒たっぷりの小台本銀座商店街を数分歩くと、その商店街の中ほどに真新しいモダンな銭湯の建物が現れた。一般的に銭湯は表通りから一本入ったところにある場合が多いが、梅の湯は商店街に面しており、まるでこの町の「顔」であるかのような存在感が際立つ。

　入り口では「梅の湯」のシャレたロゴの看板に、梅の花が散りばめられたかわいらしい暖簾が目を引く。1階が下足場で、お風呂は2階。エレベーター付きなので、高齢者や足腰に痛みがある人でも安心だ。

　2階に上がると広いロビーがあり、傍らの壁には巨大な「いろはカルタ」が並ぶ。実はこのカルタ、建て替え前は脱衣場の天井を飾っていた梅の湯の名物。「いろはカルタと万国旗の天井は、昭和26年の創業時に描かれたもので、わざわざ見に来る人もいたんですよ」と話すのは、3代目店主の栗田尚史さん。味わいのあるカルタは廃棄するには忍びないと、建て替え後は壁を飾ることとなった。独特の絵柄は当時の看板職人の手によるものだそうで、他に二つとない品だ。「い」は「犬も歩けば棒に当たる」とわかるが、中にはちょっとわかりづらい絵柄も。いろいろ想像してみるのも楽しそうだ。

　浴室は、オープンしたばかりということに加えて、清掃が行き届いていることもあり、壁や床のタイルは白く輝かんばかり。湯船は壁に沿って浴室の奥までずらりと並び、さらに露天風呂も設置されている。
　なかでも一番大きな湯船は10名以上入ってもまだ余裕がある大きさ。「大勢で入れる大きな湯船を作りたかったんです」と栗田さんが話すその大きな湯船、お湯が少し白濁している。実はこの湯船、都内の銭湯で初めて設置された「高濃度 水素風呂」なのだ。効能書きにはアンチエイジングや疲労回復効果などが期待でき、7分ほどお湯につかるのがおすすめ、とある。温度が約40℃とぬるめのため、のんびり話をしながら長湯をする人も多い。この温度ならのぼせにくく、しっかり体も温まるとお客さんからも好評だ。

　水素風呂の隣は、寝風呂と強力なジェットが設置された湯船。その隣は薬湯で、普段は実母散（じつぼさん）という漢方の入浴剤が入れられており、よい香りが漂う。この薬湯は温度が高めなので、あつ湯好きはこちらへどうぞ。
　さて、銭湯では大きな湯船が一つ設置されることが多い露天風呂だが、こちらではちょっと深めのバイブラと寝風呂という、２つの湯船が用意されている。空を見上げ、外気に触れながらの入浴は、開放感とあいまって実に気持ちがいい。

　そのほか、入り口付近には4〜5人入れるサウナが設置されており、こちらはうれしいことに無料。大きめの水風呂もあって、サウナと行き来する常連さんが多数見受けられる。

　一通り浴室を見て思ったのは、湯船の面積が広いということ。どの家庭にも風呂がある時代、銭湯へ足を運んでもらうために湯船を充実させたということなのだろう。銭湯を建て直す際は収入の安定のためマンションを併設する場合が多いが、それをしないところにも銭湯にかける経営者の意気込みを感じる。

　さて、梅の湯といえば、建て替え前から栗田さんのお母さんが経営する焼き鳥屋「梅京」が併設されていることでも知られていたが、銭湯開店から3ヵ月遅れの11月下旬に、こちらも開店。初日は宣伝をしたわけでもないのに、開店を心待ちにしていたご近所の方々で大賑わいに。なんと二日分の材料が1日で売り切れてしまって、翌日は休まざるを得なかったんだとか。梅の湯へ足を運んだ際は、ぜひこの梅京にも立ち寄りたい。

　帰り際、ロビーで夫婦連れが「1時間半後に待ち合わせね」と話をしていた。銭湯にしてはずいぶん長風呂だなと思ったが「うちでは普通です。もっと長居する人もたくさんいますよ」と栗田さん。そういえば、いつも30分程度で入浴を済ませる筆者も、この日は1時間近く浴室にいた。どうやら新生「梅の湯」は、居心地のよさから知らず知らずに長居をしてしまうようだ。
（写真・文：編集部）

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【DATA】
梅の湯（荒川区｜田端駅）
●銭湯お遍路番号：荒川区　3番
●住所：荒川区西尾久4-13-2
●TEL：03-3893-1695
●営業時間：15〜25時
●定休日：月曜
●交通：山手線「田端」駅より徒歩15分、都電荒川線「小台」駅より徒歩6分
●ホームページ：http://arakawa-sento.jp/梅の湯
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